ストレスに効果があるアダプトゲンとは?

本記事は神戸ナカムラクリニック中村篤史院長から許諾いただき、「院長ブログ」を再編集したものです。

ストレスに負けないためのアダプトゲン

ハンス・セリエが「ストレス」という概念を提唱して以来、この言葉は医学界のみならず、広く一般に知れ渡りました。

日本語の中にもすっかり定着していますから、もし仮に「純粋な日本語を取り戻す運動」が盛んになって英語が禁止になったらどうしましょうか。「心労」、「緊張」、「疲労」では少し意味がずれてしまいます。

セリエは動物実験で、寒冷などの物理的刺激、炎症などの化学的刺激、薬品などの科学的刺激、怒りや悲しみといった心理的刺激など、さまざまなストレスを与えて、その反応を観察しました。副腎皮質の腫脹、胃・十二指腸潰瘍、胸腺の萎縮といった共通の症状が起きたことから、有害な刺激に対するこのような生体反応を「適応症候群(Adaptation Syndrome:アダプテーション・シンドローム)」と名付けました。

セリエの発表する一連のストレス学説は、世界中の研究者に影響を及ぼしました。特に、米ソ大国の冷戦下にあったソ連では、彼の研究に刺激されて独自のストレス研究が開始されました。ソ連の学者たちは見事な成果をあげましたが、それが西側諸国に知れ渡ることはありませんでした。ソ連は、自由に広まる西側の研究成果の蜜を吸いつつ、自国では秘密裏に研究を進めたのです。そして、冷戦下の戦況を少しでも優位に進めようとしたのです。

ソ連の研究テーマは、「いかにしてストレスに負けない最強の兵士を作るか」ということでした。戦場は予期せぬ出来事の連続です。思いもよらぬ刺激に対し、簡単に怯むことなく粛々と任務を遂行する屈強な兵士を作りたかったのです。無重力状態の宇宙空間のような、これまで人類が経験したことがない刺激にも適応する兵士を作る。そこで目をつけたのが食品や栄養素でした。

ハーブに秘められたアダプトゲン特性

こういうケースで研究者が参考にするのは、古典的な医学文献や文化人類学的なフィールドワークです。彼らは、漢方で重用される朝鮮人参の薬効に注目しました。動物実験では、血中副腎皮質ホルモン濃度の低下やATP(アデノシン三リン酸)産生の向上など抗ストレス作用を確認しました。そして、こうした作用をもつ天然の薬草のことを「アダプトゲン(適応を生み出すもの)」と名付けました。実験では、エレウテロ、シサンドラ、ロディオラなど、さまざまなハーブにアダプトゲン特性があることが確認されました。

ソ連にとってオリンピックは共産主義の優位性を世界中にアピールする格好の舞台でした。メダル獲得数で敵国アメリカを上回ることは自ずと至上命題になりました。国家主導でオリンピック選手養成チームが組織され、研究成果が上がっていたアダプトゲンが選手たちに用いられました。アダプトゲンは天然のハーブですからドーピングとは無縁です。おまけに、天然であるがゆえに副作用自体がないというのも格好の代物でした。アスリートの運動能力を高め、より一層強くする素晴らしいハーブ、それがアダプトゲンでした。

オリンピックの結果から見えてくるアダプトゲンの効果と歴史

実際のオリンピックでのメダル獲得数を比較してみましょう。

1972年:ミュンヘンオリンピック

金メダル 銀メダル 銅メダル 合計
ソ連 50個 27個 22個 99個
アメリカ 33個 31個 30個 94個

ミュンヘンオリンピックで、ソ連は金メダル50個(銀27個、銅22個、合計99個)を獲得し、金メダル33個(銀31個、銅30個、合計94個)のアメリカをはるかに上回りました。

1976年:モントリオールオリンピック

金メダル 銀メダル 銅メダル 合計
ソ連 49個 41個 35個 125個
アメリカ 34個 35個 25個 94個

1976年モントリオールオリンピックでも、ソ連は金メダル49個(銀41個、銅35個、合計125個)を獲得し、金メダル34個(銀35個、銅25個、合計94個)のアメリカを完全に凌駕しました。

時は経ち、冷戦が終結した後に、アダプトゲンは西側へと渡ります。ソ連崩壊後に、アダプトゲン研究の主導者であるZakir Ramazanov博士が、機密文書だったアダプトゲンの研究成果とともにアメリカに亡命したのです。アダプトゲンの研究は「極寒のシベリアにおいても、酷暑のアフガニスタンにおいても、冷静沈着に任務を遂行する兵士を育てる」ためだったということです。

これが、アダプトゲンの歴史です。

とても不思議なことに、オーソモレキュラー栄養療法ではアダプトゲンについて特に言及されていません。ポーリング博士もホッファー先生も当然アダプトゲンは知っていたはずです。

どこの誰が有効性を確認しようが、効くものは効くわけです。アダプトゲンの本来の目的は、宇宙飛行士やオリンピック選手を含めたストレスに強い人間を育てることでした。つまり、常人より強い人をさらに強くするという離れ業を成すものなので、病気の人を健康にするというのも当然可能だと思います。

中村先生は、自分自身で摂取して、その効果を実感されているようです。摂取を始めてからの第一印象は疲れにくくなったとのこと。普段疲労の自覚症状がない先生でも感じる変化なので、病気の人にはもっと効きそうですね。治療においてアダプトゲンを使わない手はない。「病気は治してなんぼ」なのです。有効性のエビデンスが確認されているものは何でも使います。アダプトゲンは患者さんにもお勧めしていますし、すでに手応えを感じています。

注意
アダプトゲンをお試しになる場合には、ロディオラ120mgを朝1錠あたりから始めてみてください。ただし、メーカーによって品質に大きな差があるので、信頼できるメーカーのものをお選びください。
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ABOUTこの記事をかいた人

續池均

セブンシーズ・アンド・パートナーズ株式会社代表取締役  大学卒業後、食品メーカーに7年勤務し、ITベンチャー企業へ転職。2005年12月に事業管掌役員として東京証券取引所マザーズ市場に上場を果たす。その後、独立起業し現在に至る。 四児の父として育児に奔走しつつ、自らの體の再生に光を当ててくれた整体に興味を抱き2016年に「ミオンパシーサロンUROOM」を開業。5年の整体院経営で培った理論と実践からMTR Method™️を開発。「筋肉チューニング整体院UROOM」へ昇華改名し、オーソモレキュラー栄養療法に基づく栄養ストラテジーを実践する健康食品ブランド「医食同源Lab」の開発など人體研究者として邁進している。