三大栄養素が化学反応でエネルギーに変換される時にビタミンB群は欠かせない補酵素です。
糖質代謝はビタミンB1(チアミン)、タンパク質代謝はビタミンB6が必要になってきます。
では、脂質代謝は何かというとビタミンB2になります。ビタミンB群は単独で働くというより複数の栄養素と一緒に働くためビタミンB2も他のビタミンやミネラルと協力し合って働きますが、エネルギー代謝・抗酸化・皮膚や粘膜・発育など重要性が高いビタミンです。
過去のビタミンB群の記事と合わせて読んでいただくことでよりビタミンB群を知ることができますのでぜひご覧ください。
ビタミンB2とは
ビタミンB2は水溶性ビタミンの一つで化学名では「リボフラビン」と呼ばれています。
体内では活性型の補酵素FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)またはFMN(フラビンモノヌクレオチド)として脂質のエネルギー代謝の際の酸化還元反応に多く使われます。不足すると疲れやすい、肌荒れや口内炎、子供の成長障害、老化や動脈硬化の原因になります。昔は今ほど栄養状態が良くなかったので発育のビタミンとも呼ばれ子どもの成長に不可欠なビタミンといわれています。今では飽食の時代となり食べ物から不足することはほとんどありませんが、偏った食事には注意したいです。
ビタミンB2の働き
エネルギー代謝の補酵素(脂質代謝)
ビタミンB群といえばエネルギー代謝には欠かせないビタミンです。オーソモレキュラー栄養療法Labの記事の中でもよく出てくる「エネルギー代謝」ですが、あまりピンとこないという方はぜひこちらの記事をご覧ください。
エネルギー代謝の中でもビタミンB2は脂質代謝に必要なビタミンです。
脂質が多い食事をしている人はビタミンB2が不足するとエネルギーにならず太りやすいということになります。
脂質をエネルギーに変える時に補因子としてビタミンB2がないとエネルギーが上手く作られません。細胞内のミトコンドリアでβ酸化という反応が起きますが、この反応を起こす時に必要な酵素を「アシルCoA脱水素酵素」と言います。この酵素を働かせるのがビタミンB2です。食べ物から摂った脂肪は、脂肪酸→アシルCOA→アセシルCoAへとβ酸化を繰り返しTCA回路に運ばれます。このTCA回路でも電子のやり取りをするためにナイアシン(NAD ,NADH)とともにビタミンB2(FAD,FADH2)が使われます。
脂肪はにはビタミンB2と覚えてください!
過酸化脂質の分解・抗酸化作用
出来合いのお惣菜や揚げ物、脂質の多い食事を好む方は体内の酸化に注意が必要です。
油が酸化すると過酸化脂質という物質ができこれが体内に蓄積すると細胞を傷つけ老化を早めたり動脈硬化の原因にもなります。
この酸化した油から身体を守ってくれるのがグルタチオンペルオキシダーゼという酵素。
グルタチオンペルオキシダーゼが酸化した油を分解する過程でグルタチオンを使います。ここで使われたグルタチオンは酸化型グルタチオンになるのですが、これを還元型グルタチオンに再生するのに必要な酵素がグルタチオン還元酵素です。そしてこのグルタチオン還元酵素を働かせるのがビタミンB2です。
ビタミンB2は過酸化脂質を分解する働きがあるということになります。そして抗酸化作用をもつビタミンEと協力し合って過酸化脂質ができるのを防いでいるのです。
発育・皮膚や粘膜の保護
体内で脂質を必要とするのが細胞膜や粘膜です。ビタミンB2は脂質に関わるビタミンなので細胞や粘膜の保護にも必要です。
細胞が生まれ変わったり、再生する時に必要になるため「発育のビタミン」と呼ばれています。そのため細胞分裂が盛んな成長期の子どもには特に不足しないように摂っていきたい栄養素になります。また激しい運動をする人も細胞の修復のために多く必要です。
ちなみにビタミンB群のチアミン(ビタミンB1)は「学習のビタミン」でIQが向上するという研究結果も出ています。
その他に爪・髪・皮膚・粘膜の健康のために必要です。不足するとニキビ・乾燥肌・肌荒れ・脂漏性皮膚炎・口内炎・口角炎・舌炎・目の充血や疲労などの原因になります。
有名な「チョコラBB」
ニキビや肌荒れ、口内炎に悩んだ方は試してみたことがあるかもしれません。
ビタミンB2・B1・B6を摂ることができて脂質代謝やターンオーバーを正常化し肌や粘膜を整えることができるサプリメントです。
とはいえ、サプリメント頼りではなくやはり栄養は食べ物から摂ることが基本です。
ビタミンB2は、豚レバー、豚ヒレ肉、牛乳、うなぎ、ぶり、たらこ、海苔、チーズ、納豆、卵、アーモンドなどに多く含まれています。魚介類や肉類に多く含まれているので手軽なところでは魚肉ソーセージもビタミン B2を摂ることができます。
牛乳は賛否ありますが、毎日ゴクゴク飲むのはカルシウム過剰になるためおすすめしません。嗜好品として質の良いものをたまの楽しみでいただくという捉え方で飲んでみてはいかがでしょうか?最近はお腹の不調やガゼインが少ないA2ミルクをお店でも見かけるようになりました。気になる方はチェックしてみてください。
薬を飲むと栄養不足になる
ビタミンB2は不足しずらいと言われていますが良かれと思って飲んでいる薬によって栄養不足になってしまうことをご存知でしょうか?
精神安定剤を慢性的に飲む副作用の一つは、リボフラビン欠乏に陥ることかもしれないのだ。臨床的にはリボフラビン欠乏だと気づくことは難しいことである。リボフラビン欠乏に特有の症状がないし、リボフラビンが欠乏している人というのは、たいてい他の栄養素も欠乏しているものだからだ。最も気づきにくいものの一つは、先天性欠損との関係である。これは、リボフラビン・ヌクレオチドの欠乏によって引き起こされ、重症であることもある。動物実験では関係性は明らかなのだが、人でその事実を確認することは難しい。しかし、そのことは我々が予期しておかなければならないことである。特に精神安定剤を服用している母から生まれた赤ん坊の場合は、高容量の精神安定剤を長期に使うとリボフラビン欠乏が起こるのだから、当然予期しておかなければならない。
エイブラム・ホッファー、アンドリュー・W・ソウル、中村篤史訳
近年では精神疾患を患う方が増え、それに伴い大量に薬を飲む方も多くいます。病院に行くと処方される精神安定剤ですがこれは治す物ではありません。この他にも経口避妊薬(低用量ピル)・痛み止め・抗生物質・副腎皮質ホルモンなどの服用もビタミンB2以外の他にも栄養素の不足や欠乏を招き余計に不調を増やしてしまう原因にもなりかねません。薬を長期に渡って飲み続けるとどんな影響があるのか知っておくことが大切です。
両親が栄養不足なために赤ちゃんも生まれながらにして栄養不足になり、夜泣きやぐずりが酷い、癇癪をおこす、アトピー体質など「育てにくい子」にしてしまっているということをご存知でしょうか?特に母親の栄養状態が子どもの体や心の発達に大きく関わっています。大人の心身の健康が良くも悪くも子どもへ影響があるということを多くの方が知ることで現代に多い「生きづらさ」が少しでも解消されるのではと思います。
私たちが日々の食習慣を見直していくことで薬に頼らず自分の治癒力で治せる人が増えることを願っています。