コラーゲンと聞くと美肌にいいというイメージがあり、プルプルの肌を思い浮かべる方が多いと思います。食材だとすっぽんや豚足ですかね?確かに美肌に欠かせないタンパク質の1つとしてコラーゲンがありますがそれだけではありません。皮膚だけではなく様々な部分にコラーゲンは存在していて靭帯や腱、骨、軟骨、爪、血管なども深く関係しています。もちろん筋肉へも大きな役割を担っているわけです。
人間の体を作っているタンパク質の中において1/3がコラーゲンと言われています。想像しているよりも多い数値となっているのではないでしょうか?
それではコラーゲンの重要性をこれから解説してきます。
タンパク質とアミノ酸の関係
タンパク質は体の中の20%を占めていると言われています。筋肉や血液、爪、髪、皮膚、骨を作っているだけでなく免疫抗体の原料やATP(エネルギー)、ホルモンなども作っており、人が生きていく上で大変重要な成分になります。
タンパク質はそもそも20種類のアミノ酸を50個以上結合し、鎖状に連結したもののことを指します。卵や肉、魚を食べたからといってそのまま体内に吸収されていくわけではありません。タンパク質のままでは分子が大きいので吸収されないと前述しました。そこで体内でタンパク質を消化酵素により分解が始まりアミノ酸へと変換されていきます。アミノ酸は小腸の柔毛の毛細血管から吸収されて血液と一緒に全身に運ばれていきます。
体を構成するタンパク質には約10万種類も存在します。それぞれタンパク質にも役割があります。体を動かす運動タンパク質や栄養や酸素を運ぶ輸送タンパク質などタンパク質の仕事は各自で違うということです。この約10万種類の中にコラーゲンも含まれます。
コラーゲンを作るには
コラーゲンはタンパク質であって、アミノ酸が連なりできています。その中で1番多く含まれているのがグリシンというアミノ酸です。グリシンはアミノ酸の中で最も単純な構造でできていいて、分子量が少なく軽いという利点があります。コラーゲンの1/3がグリシンと言われています。
前述していますが20種類のアミノ酸が複雑に結合したものがタンパク質です。20種類のアミノ酸の内、9種類が体内で作り出すことのできない「必須アミノ酸」残りの11種類を体内で作り出すことができる「非必須アミノ酸」とに分けることができます。
他にはリジンとプロリンという必須アミノ酸です。必須アミノ酸なので体内合成ができないアミノ酸です。必ず食事の中で摂取が必要になるということです。リジンにはパンや麺、白米などの精製糖質からはほとんど摂れないと言われています。では何から摂るのか?オーソモレキュラー栄養療法では最重要になるタンパク質源の卵を始め、肉や魚といった動物性タンパク質に豊富です。
また大豆などの豆類の植物性タンパク質にも豊富に入っています。ただ食事だけで絶対量が取れるわけではないのでプロテインの摂取もオススメしています。摂取できる方はぜひ摂取してみましょう!
※ただし、大豆は遺伝子組み換えの商品には気をつけましょう。
上記のことから何か気がつきますか?そうです。口うるさくお伝えしている、「適量糖質高タンパク質食」にすることがコラーゲンを効率よく作ることのファーストステップになります。
コラーゲンが劣化すると…
前述したようにコラーゲンは皮膚だけでなく靭帯や骨、血管にも影響を及ぼしています。コラーゲンが劣化すると一体どのような症状になるか例を挙げていきます。
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- 骨折、骨粗鬆症
コラーゲンの役割で最もわかりやすいのが骨です。骨の構造は鉄筋コンクリートの構造に似ていて、骨の体積の半分がコラーゲンです。鉄骨(コラーゲン)とコンクリート(カルシウム)の関係性に例えることができます。鉄骨部分が脆くなれば構造全体が弱くなります。骨の構造でも同様のことが言えるのです。骨の中のコラーゲンが少なくなるとしなりがなくなり、脆く折れやすくなるということです。枯れた木と湿った木だとどちらが折れやすいか?を想像していただけるとわかりやすいですね。
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- 動脈硬化
動脈は元々軟らかく、しなやかで非常に弾力性に優れた構造をしています。動脈硬化のメカニズムとしては、血管に高い圧力がかかり続け、血管はその圧力に耐えきれずに血管壁が伸びて動脈瘤を形成したり、それが破裂したりする可能性が出てきます。そこで血管はその圧力に対して血管壁を硬く厚くすることで対処しようとすることで弾力性を失い、動脈硬化という結果を生んでいきます。血管の弾力性を生み出しているのはコラーゲンの働きによるものです。コラーゲンを体内で生成することで血管を軟らかく、しなやかな状態にすることで動脈硬化を予防できます。
上記がほんの一部になりますがこの他にもコラーゲンの働きによって様々な病気、怪我の予防や体の機能を向上させることができます。
酸化と糖化
コラーゲンには架橋といいコラーゲン繊維同士をくっつける役目(橋渡し)をしているものがあります。架橋には善玉と悪玉の2パターンに分けることができます。善玉架橋は細胞が作った架橋で悪玉架橋はその細胞が錆びついた状態を指します。骨を例で出すと、善玉架橋は適度な弾力性を保ちながら骨を強くします。一方、悪玉架橋は骨を過剰に硬くし陶器のようにもろくなってしまいます。
動脈硬化の部分でも触れましたが弾力性があるかないかが重要になります。架橋が錆びる(悪玉架橋)とコラーゲン繊維はしなりがなくなり硬くなることで動脈硬化を引き起こすからです。なぜ、架橋が錆びてくるのか?原因としては酸化と糖化が挙げられます。オーソモレキュラー栄養療法に取り組んでいると必ずと言っていいほど出てくるのがこの酸化と糖化です。
体の中に取り込んだ栄養素を合成させ、エネルギーを作るために栄養素を燃やすことを酸化と言います。酸化は必要なのことなのですが、酸化によって細胞が傷つけられることがを酸化ストレスと言い、酸化ストレスは架橋を錆びさせる原因になります。酸化ストレスの原因は精神的、肉体的なストレスによって、喫煙や飲酒と言った生活習慣によるものなどが挙げられます。この過程で過剰に発生した活性酸素によって酸化ストレスが起こります。
糖化を簡単に説明するとパンケーキがわかりやすいです。生地を焼くと表面がこんがりと飴色になりますよね。あれは糖とタンパク質に熱が加わることで結合し、飴色になるわけです。よくメイラード反応と言われたりします。この糖化が体の中でも起こるわけです。オーソモレキュラー栄養療法Lab内でもお伝えしてるAGEs(終末糖化産物)がこの糖化している状態を指します。AGEsは糖が体内に余剰にあると引き起こされます。しかし糖だけではなく酸化の原因でもあった喫煙や飲酒なども要因になるとされています。このAGEsを下げる方法は運動療法です。いわゆる有酸素運動(ランニング)を行うことでAGEsは下がるのです。
コラーゲン合成に欠かせない栄養素
コラーゲン生成にはタンパク質が必要なのですが、それ以外にコラーゲンを合成するために必要な栄養素があります。それが「アスコルビン酸(ビタミンC)」です。アスコルビン酸には自身が酸化されることによって他の物質を還元するという能力を持っています。体の中で様々な酵素反応に必要な金属イオンを還元して、酵素反応を助けています。
コラーゲンを形作る際にこの反応が重要になるのです。コラーゲン繊維から三重螺旋構造を形成する際にアスコルビン酸が必要になります。3本の糸を想像していただくとわかりやすいでしょうか。3本の糸で三つ編みを作ろうとして1本にする際に巻きつける力が必要になります。そこで必要になのが酵素の働きを助けるアスコルビン酸だということです。バラバラな状態だとコラーゲン繊維も強度が弱いですが、コラーゲン繊維が3本絡みつけば強度が増すのはイメージできますよね?アスコルビン酸によってコラーゲンは強固、しなやかな状態になることができます。
コラーゲンが劣化してくると様々な病気や怪我になりやすいとお伝えしました。コラーゲンは筋肉へも影響力を及ぼしますので、我々の日々の施術で緩みづらい方というのは精製糖質過多になっていることやタンパク質が不足していることが第一に考えられますし、前述したアスコルビン酸(ビタミンC)の重要性やビタミンB群などもコラーゲンを老化させない為に重要になります。オーソモレキュラー栄養療法ではこれらを摂取していくことがまずベースとして考えられますので、しっかりと摂取していただきたいと思います。
またAGEsを下げるには有酸素運動(ランニング)しかないです!実際に我々の会社の中ではランニングをしている人に限ってAGEsが年齢よりもマイナス10歳まで下がるということが実証されています。健康的な体を作るために、是非皆様も走ってみてください!