腸内環境を整える「腸内細菌叢とオーソモレキュラー栄養療法」

前回の記事で「今、話題の腸内細菌叢について」解説させていただきましたが、今回はオーソモレキュラー栄養療法の観点から腸内環境を整える方法をご説明させていたさきます。

栄養素の減少

殺虫剤、除草剤など農薬の影響で、最近は野菜や果物でも微量栄養素が減少しているという報告もあります。過剰使用が悪玉菌のエサとなり、土壌中に存在するはずの微生物も殺してしまうことで、人に必要な微量栄養素であるマグネシウム、亜鉛などが少なくなっていると言われています。

また化学肥料によって植物はエネルギーを必要とせず、根を伸ばさなくなるので微量栄養素の吸収が悪くなります。

自分は野菜をよく食べるから大丈夫と安心せずに、その野菜や果物にはどれくらいの栄養素が含まれているのでしょうか。昔のように野菜から栄養を摂ることは難しくなっているのかもしれません。もちろん食事からは多少の栄養素の他に食物繊維が摂れるので、オーソモレキュラー栄養療法では食物繊維はしっかり摂りつつ足りない栄養素(ビタミン、ミネラル)はサプリからも補っていきます。サプリは薬ではないのでよほどの量を摂取しない限り、オーバードースもないです。

また薬ではないので、ずっと飲み続ける必要もなく、栄養が足りていない人が一時的に体内に栄養素を増やすためのもので、調子が良くなれば辞められますし、その副作用もありません。

帝王切開

細菌の減少として、母体から胎児へと細菌が移動することが減っているようです。その一つに帝王切開が挙げられます。胎児は分娩と同時に外界や産道からの細菌の汚染を受けることで、腸内には
たくさんの細菌が住み着くようになるのですが、通常分娩と帝王切開で生まれた新生児を比較すると、その菌叢に大きな差があるとされており、帝王切開によって細菌感染ルートが減少してい
るのです。また母体の乳酸菌自体も減少しており、母乳に含まれる過酸化水素が乳酸菌を増やすのですが、この働きも弱まっているようです。

飲み薬の抗生物質は風邪薬や湿疹など皮膚疾患にも使用されることがあり、耳鼻科でも多くの抗生物質が処方されています。抗生物質は人間が共生している細菌を破壊し、リッキーガットを誘発
しアレルギーが増えるとされています。これも腸内環境が悪化し過敏に反応し、炎症体質となってしまっているのです。幼児のアレルギーが多いのもこのためではないでしょうか。抗生物質の利用
に関してはご自身で判断、お子さんへの使用でも安易に使用せず、原因となっている生活習慣を改善するなど、親がしっかりと考えて利用する必要があります。共生細菌の中で健康な人に多く見
られる細菌は医薬品に対してとても弱く破壊されやすいのです。逆に身体にとって有害な菌は強いとされており、抗生物質でも退治できなかった強く悪い菌が身体にとって悪影響を及ぼします。

抗生物質だけでなく一般的な医薬品でも安易に摂取することなく、医食同源を取り入れることが大事なのではないでしょうか。

抗炎症作用

腸に影響を出しているストレスを取り除くことは大事ですが、日々の生活の中で変えることのできないものもあるかと思います。オーソモレキュラー栄養療法では、腸内環境を整えるために日々の食生活を改善していきます。まずは腸内で起きている炎症を抑えることです。

以前の花粉症の記事でも触れましたが、日々の食事で炎症体質を変えていきます。例えば油だとサラダ油、サラダドレッシング、マヨネーズなどオメガ6系のものは炎症が起きやすく、オメガ3系のアマニ油、えごま油など抗炎症作用のある油に変えていきます。日々の食事でもオメガ6系のお肉が多い方は、抗炎症作用のある、EPA/DHAを含んだ魚に変えてみたり、EPA/DHAのサプリを朝晩と補うことで炎症体質を改善していきます。

プロバイオティクス

プロバイオティクス配合など腸内環境を改善すると謳った商品が多くありますが、プロバイオティクスとは、有害な病原細菌を抑制する抗生物質に対して提唱された概念で、「腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に有益に働く生きた微生物」と定義されています。

腸内環境を良くすることによって私たちの健康に役立つ微生物がプロバイオティクスなのです。食べ物の消化や栄養の吸収、ビタミンの生成、有害な微生物の成長の抑制などを助けます。食品とし
ては生きた菌が含まれるヨーグルト、味噌、キムチ、納豆などが挙げられます。体内からいなくなった細菌は食品を摂ることで定着し取り戻すことができるのです。

プレバイオティクス

一方、プレバイオティクスとは「大腸の特定の細菌を増殖させることなどにより、宿主に有益に働く食品成分」と定義されています。プロバイオティクスが菌そのものの作用によって腸内環境を改善するのに対し、プレバイオティクスは有用な腸内細菌の餌となる食品成分を摂取することによって腸内環境を改善するということです。プロバイオティクスのための食べ物と説明されることも多く、プロバイオティクスが増えるのを助けます。微生物によって最終的に発酵させる多糖類で、果物、野菜、豆などに含まれる食物繊維です。食品としては米、じゃが芋や人参などの根菜類、林檎や梨、玉ねぎ、にんにくなどです。

食物繊維を摂る

食物繊維が豊富なものを摂ると便通が良くなるとは、なんとなく聞いたことがあり、皆様の頭の中にもあるかと思います。生まれたての赤ちゃんの腸内には、有用な細菌が豊富に共生していますが、生活習慣などで年齢とともに割合が減ってしまうのです。

プロバイオティクスを増やし、腸内環境を整えることは、言い換えれば、いかにして赤ちゃんの腸に近づけるか、ということでもあります。そこで、発酵食品の摂取。そして、プロバイオティクスを増殖、活性化させるのが、プレバイオティクスで、これを多く含んでいるのが、食物繊維なのです。食物繊維は種類によって生理作用が違うので、さまざまな食品を組み合わせての摂取がお勧めです。

大腸ガン、盲腸

現在、日本に限らず先進国でもっとも多いがんは、胃がんを抜いて大腸がんです。その原因の一つに食物繊維が少なく、欧米式の脂肪分の多い食事が考えられます。

脂肪分を分解するには、酸素が多く必要になります。脂肪は1グラム9キロカロリーなので消化するためにはより多くの酸素を必要とします。腸の中は外から酸素が供給されないので、脂ものを多く摂ると、腸内は酸素不足の状態になります。食物繊維が足りず便通が悪いと、腸内は酸素不足のままとなり、悪玉菌にとっては居ごこちの良い環境となります。

食物繊維は、消化されずにそのまま大腸に届きます。食物繊維は腸内で脂や水分を吸収し、便通を促してくれるので、腸内環境を整えるにも有効なのです。盲腸や虫垂炎は原因ははっきりと解明されていませんが、虫垂内部に弁や粘膜が詰まることで血行が悪くなり、大腸菌やウィルスが侵入して炎症が起きるとされています。便秘や胃腸炎が原因でもあるのでこれらの疾患を防ぐためにも腸内環境は日々の食事から意識しておきたいです。

栄養吸収

ヨーグルトを食べるようになってから便通が良くなったという方もいれば、全く変化がない方もいるかと思います。この差は一体なんなのでしょうか。失った細菌を取り戻すことは大事なのですが、どの細菌が自分にとって必要かは実際に摂ってみないと分からないのです。

我々の考えるオーソモレキュラー栄養療法では、まずは失った細菌を取り戻すために酪酸菌を摂取していきます。細菌はおおよそ2週間前後で住み着くと考えられているため、これを一つの目安としていきます。これにより便通が良くなり腸内環境が整ってくれば酪酸菌が自分にとって必要な細菌であったと判断できます。

もちろんこれ以外にも日々の食生活を改善しておく必要もあります。摂るべきものとしては豆、果菜類、葉菜類、根菜類、全粒穀物、肉や魚、卵、オメガ3脂肪酸、果物です。

逆にベジタリアン、ヴィーガン、パレオなどの偏食は控え、甘いデザートは特別な日だけとし、菓子パンなど栄養価の低い精製糖質食品全般は控えていきます。

身体の不調や病気は全てではないですが、食からくることが多いです。もちろんミトコンドリアを増やすために適度な有酸素運動も必要ですので、以前の記事を参照ください。
「何を食べたらいいかわからない」などと諦めることなく、ご自身の身体と向き合っていきましょう。

酪酸菌と生姜麹


酪酸菌と生姜麹 60粒 3,500円(税抜)
私たちのお勧めする酪酸菌と生姜麹は腸内細菌の一種で腸内で活性化し、有機酸やビタミンなどを作りながら増殖を繰り返す、プロバイオティクスの原料です。

酪酸菌は糖を分解して酪酸と呼ばれる物質を作り出す菌で、味噌、納豆、ぬか漬けなどに含まれています。さらに乳酸菌の働きを促進し、有機酸を生み出して消化管の粘膜を保護・修復する役割を担っています。
また酪酸菌は芽胞と呼ばれる非常に強い外殻を持っています。酸、アルカリ、高温など生命体にダメージを与える環境でも自らを保護する天然のバリアを持っています。

乳酸菌やビフィズス菌などの腸内有益細菌はこのバリアがないので、胃酸で大半の有益菌が死滅してしまうのです。酪酸菌は胃酸をバリアで通過し、腸内で活動ができる微生物なのです。
腸内ではデンプンやアミノ酸を利用し、様々な有益物質(オリゴ糖、ビタミンB、有機酸、アミノ酸)を作ることができ、腸内の有益微生物(善玉菌)のサポートをし、有害細菌(悪玉菌)の繁殖を抑制します。最近では腸内細菌の司令塔細菌としても認知されています。生姜麹には酵素活性という効能があり、たんぱく質の吸収を良くし、冷えの改善にも繋がります。

このサプリにはGABAも含まれていて、抗ストレス作用として、自律神経活動を増加、副交感神経亢進、免疫力低下の抑制、脳細胞破壊の防御、疲労感の軽減。高血圧時の血圧低下させ、血管収縮の抑制と腎臓機能の向上。腎臓、肝臓機能の活発化、血液中のコレステロールや中性脂肪量のコントロール、脂肪代謝を上げる働きがあり、糖尿病、動脈効果の予防にも繋がります。

また、GABAはたんぱく吸収を良くし、睡眠の質の向上、更年期における不定愁訴の緩和、消化管平滑筋の収縮、弛緩を促し、消化管運動の働きを助けます。

医食同源Labでは「酪酸菌と生姜麹」を180mg×60粒 3,500円で販売しております。1袋で2人分の量は確保できますので、ぜひご家族や大切な方と一緒にお試しください。小さなお子さんでも問題ありません。
私も幼少期の頃からお腹の調子は下痢が多く、下痢止めが手放せませんでした。それは今までの食生活の乱れがあることに気づき改善していきました。今回の記事でも触れた食生活を実践し、体を適度に動かすことお取り入れつつ、酪酸菌と生姜麹のサプリを2週間摂取していきました。

私にはこのサプリがあっていたのか、今までにないくらいの快便で、腸内に菌が繁殖してくれたようです。今ではたまに体に良くなさそうなものを食べても、すぐに排出される感覚があります。もちろん以前の食生活に戻ればまた腸内環境は悪化してしまうので、今後もこの食生活を続けていこうと考えています。

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オーソモレキュラー栄養療法で筋痛症改善を!

神戸ナカムラクリニックの中村篤史院長がUROOM調布成城にてオーソモレキュラー診療(自由診療のカウンセリング)を不定期ではありますが月に1回、10名様限定で実施いたします。筋痛症を根本から改善されたい方、筋肉の質を改善されたい方などはぜひご参加ください。



腰痛改善の鍵は高たんぱく質


筋肉のロックが原因となる腰痛、股関節痛、膝痛、五十肩などの疼痛ですが、発症した方の多くが、”質の栄養失調”に陥っています。
腰痛を改善するための体質改善にとても重要な栄養素、たんぱく質を摂取することで痛みが改善するメカニズムを詳しくご説明いたします。


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筋肉チューニングサロンUROOM

筋肉と向き合い體の本質を探究している整体院です。硬く縮こまり続ける状態の「筋拘縮」が痛みの多くの原因になっている可能性があります。筋肉の解除には筋肉チューニングと呼ばれる徒手施術が必要ですが、そこには「栄養」も大きく関わっています。 施術、栄養、セルフケア運動と體の本質から痛みからの解放のためのサポートをしていく整体院です。