かねてより「タンパク質」をはじめとする「栄養」の重要性について様々なテーマで記事にしてきました。
今回は「今の時代」だからこそ意識してほしい「ビタミンB群」の重要性についてお伝えします。
そもそもビタミンとは
ビタミンは生命を意味するラテン語の「Vita」にちなんでおり「生命活動に欠かせない(amine)」と命名された物質です。
筋肉や細胞などの構成成分にはならず、他の栄養素のサポートをする役割があります。三大栄養素が吸収され、正常に代謝されることでエネルギーになります。そして生理機能を維持し、体調を整えるために各種ビタミンが必要になります。
ビタミンには水溶性と脂溶性があり、ビタミンB群は水に溶けやすく、熱に弱い水溶性になります。脂溶性ビタミンは油脂やアルコールに溶けやすく熱に強い物質で、ビタミンA、D、E、Kの4種類があります。
◆脂溶性ビタミン◆
このほか、ビタミンAは最初に発見されたビタミンとされており、高い抗酸化作用で活性酸素による細胞のダメージを抑制したり、鼻、喉などの粘膜の材料になり免疫を強化したります。
ビタミンKは出血時に血液を固めて止血する因子を活性化したり骨にあるタンパク質を活性化し、骨の形成を促したりする作用があります。
それに対してビタミンB群は「代謝ビタミン」とも呼ばれ、エネルギー産生に必須な栄養素です。
単独では作用を発揮しにくく相互に補助的に作用するという性質を持ちます。植物性食品や動物性食品に含まれているため、適量の食事を取っていれば自然に摂取できる栄養素です。しかし現代の過度な精製、加工が行われ添加物が多用される現代の食事ではビタミンB群の欠乏のリスクが高くなっています。
また日常的なアルコール摂取がビタミンB群の消費量を増やすほか、抗生物質の長期服用は腸内細菌のバランスの乱れの原因となるため注意が必要です。
食品から摂取したビタミンB群は体内で相互に作用しあって活性化することでほとんど全ての種類の酵素の補酵素として働くことができます。
したがってビタミンB群は複合的に摂取することが望ましいです。
ビタミンB群は神経機能に必須のビタミンです。
以下の記事は主にビタミンB1(チアミン)についての内容ですが、ビタミンB群の摂取をはじめとする栄養改善を行ったことでADHDなどの学習障害が改善されたり砂糖をはじめとする精製糖質の摂取がビタミンB1(チアミン)の大量消費に関係しているとされています。またビタミンB群の欠乏によって神経機能の喪失、記憶力低下、集中力低下、イライラ、混乱、うつが生じるということがわかっています。
複合的に摂取することが望ましいビタミンB群ですが、その中でも重要となるものを解説していきます。
ビタミンB6
ビタミンB6はタンパク質代謝の中心的存在です。
毛髪や爪、筋肉などを作るだけでなく血管や血液、生理活性物質であるホルモン、免疫抗体などもタンパク質から作られます。
ビタミンB6は摂取したタンパク質をアミノ酸に分解し、それを材料としてタンパク質を再合成したり、神経伝達物質を生成したりします。
またビタミンB6には脂質代謝をスムーズにする働きや糖新生においても重要な役割を果たしており、食品中のタンパク質からエネルギーが産生されるときや筋肉や血液が作られるときに必要であるため、タンパク質を多く摂る人ほど多くのビタミンB6が必要になります。
タンパク質が不足すると体内にあるタンパク質を再利用することになるため古くなったものを再利用するとなると当然質がどんどん下がっていくため意識して摂取することが大切になります。
また免疫機能の正常な働きの維持、皮膚の抵抗力の増進にも必要で、赤血球のヘモグロビンの合成にも欠かせない栄養素です。
欠乏することで起きる症状としては肌荒れをはじめとした口唇症、皮膚炎、舌炎などです。
しかしビタミンB6が単独で不足に陥ることはあまりなく他のビタミン不足と同時に起こることが多いため日頃から精製された食品を避ける、砂糖を使用した飲み物やその他食品を摂らないことなどを意識することが大切になります。
現代の食べ物は精製されたものが溢れており、食事のみから必要な栄養を摂取することが難しくなっているためまずは「減らす」ことを意識して取り組むことをお勧めします。
含有食品としてはにんにく、ピスタチオ、マグロ、牛レバーなどです。
ビタミンB1(チアミン)
先ほど軽く触れたビタミンB1(チアミン)ですがブドウ糖をエネルギーに変換する際に必要な栄養素です。
ビタミンB1が不足すると糖質はうまく代謝されずに乳酸として蓄積されてしまいます。乳酸は化学反応の末端であり、酸性であるので増えすぎると体の酸化につながります(乳酸アシドーシス)。
精製糖質の摂取、多量の飲酒、激しい運動時に多く必要とします。
欠乏すると:筋肉痛、疲労・全身倦怠感、脚気など
含有食品:豚肉、赤身肉、ナッツ、カリフラワー、ほうれん草など
以下の記事は「栄養の欠如が子どもの学習障害の誘因」であることがわかるもので砂糖をはじめとする精製糖質は体内の代謝プロセスにおいて、このチアミンを無駄に消費してしまいます。
ビタミンB群は1つのチームとして作用するため複合的に摂取することでバランスが偏らないようにすることが大切です。
ビタミンB2
ビタミンB2は特に脂質を代謝してエネルギーを産生します。
脂質は1gあたり9kcal(糖質は1gあたり4kcal)のエネルギーを産む一方で細胞膜やホルモン生理活性物質の生合成の原料にもなる重要な栄養素です。
糖質過剰な現代の食生活においては糖質を適量にし、脂質、タンパク質を増やすことで栄養が循環しやすくなります。ビタミンB2は不適切な食生活が原因で特に不足気味になります。
十分に摂取できていれば脂質を代謝してエネルギーに変えてくれるため意識して摂るようにしましょう。
欠乏すると:口内炎、皮膚や粘膜の炎症、成長障害など
含有食品:豚レバー、卵、ブリ、納豆など
ナイアシン(ビタミンB3)
500種以上の酵素の補酵素として糖質・脂質・タンパク質の代謝を促進し、エネルギー産生を助けたりビタミンB1とともにアルコールの分解に関与したりします。
また精神の安定に関わるセロトニンは、ナイアシンと同じ必須アミノ酸であるトリプトファンから生成されます。トリプトファンはナイアシンの生成に優先して使われるためナイアシンが不足するとセロトニンが生成されなくなってしまいます。
ビタミンB6が不足してもナイアシンは不足します。(タンパク質はアミノ酸が多数結合したものなので必須アミノ酸であるトリプトファンはタンパク質不足だと作られなくなってしまいます)
欠乏すると:口内炎、不安、イライラ、精神障害など
含有食品:マグロ、カツオ、豚レバー、舞茸など
この他にビタミンB群には下記のものがあります。
・抗ストレスビタミンと呼ばれストレス緩和に関わるビタミンB5(パントテン酸)
・造血のビタミンと呼ばれ胎児の正常な発育に関与する葉酸
・葉酸と協働してタンパク質の代謝、核酸の合成に関与するビタミン12
いかがでしたでしょうか。
私たちの体は意識していないところで多くの栄養素が作用しあって命を繋ぎ続けてくれています。
「買い物は投票」という言葉もあるように何を食べて何を食べないかを選択することは自分の人生をどのようなものにするかに直結すると言っても過言ではありません。
まずは減らすことを意識しながら自身の食生活について意識を向けてみてください。